第11章 流れ
「あすか 、宿儺の指を探しに行くか?」
呪霊たちの話を黙って聞いていた蒼が話しかけた。
『そぅね。宿儺さまの封印も弱くなっているみたいだし、気配が追えるかもしれない』
ありがとう、呪霊たちに お礼を告げ、あすか は歩き出した。
『さて、どこから探そうか』
「宿儺が呪いに転じた時の呪力を覚えているか?」
『うん』
「近くに宿儺の指があれば気がつくはずだ。
まずは神社やお寺を探してみたら どうだ?」
『なんで神社やお寺なの?』
首を傾げる あすか 。
「宿儺の指をどのように扱っているのかは知らん。
だが、人間は愚かで都合の良い信仰心を持っている。
だから、人の信仰を集めるような場所に置かれている可能性が高いのではないかと思ってな」
『なるほど』
蒼の助言を元に、あすか と蒼は近くの神社やお寺から探し始める事にした。
蒼は 人が居る街などでは あすか の中に入り、出来るだけ負の感情に当たらないようにした。
何件目かの神社。
鳥居をくぐると微かだが、懐かしいような気配を感じた。
『…宿儺さま』
気配を辿るように建物の中に入る あすか 。
『見つけた』
木の箱から溢れだす禍々しい呪力。
あすか はその箱を手に取り、中を確認した。
何重にも巻かれた呪符。
忌々しい…、あすか は呪符を剥がそうとしたが、バチンッ、と弾かれた。
『……………』
弾かれた手を見つめ、あすか は生前、宿儺が見せてくれた炎を思い出した。