第11章 流れ
あすか は人が あまり来ないであろう山頂に住み着く事にした。
⦅1000年前に比べて人間が増えた。
それに伴って負の感情が増加したのか。
此処なら人もあまり来ない。
蒼が人間の感情に当てられる事も少ないよね⦆
静かな山だった。
緑も守られ野生の動物も居る。
本来あるべき自然がそこにあった。
『蒼、出てきて良いよ。
此処を拠点にしよう』
あすか の中から出てきた蒼は周りを見渡し、「良い所だな」と舌を出した。
『気に入ってくれたようで良かった』
あすか は優しく笑った。
あすか 達は そこに住み着くようになり、山の動物や低級の呪霊達から今の世について情報を収集した。
人間だった頃、呪霊たちの言葉は理解出来なかったが、同じ呪霊となった今 あすか は呪霊たちの言葉が理解できた。
「呪いの王」
「封印、サれた」
「指」
「散らばった」
「呪術師壊せない」
『そぅ…、宿儺さまは封印されたのね……』
人が来ない山頂だ。
低級呪霊たちは変態を遂げるだけの呪力は無い。そのため、話す言葉は人間の幼児レベルだ。
呪霊たちは あすか と蒼に教えようと、一生懸命 言葉を口にした。
「強い呪霊(やつ)ら、動いてる」
「呪イの時代、来る」
「人間、キライ」
優しく呪霊たちの頭を撫でながら、あすか は宿儺を想った。
『呪いの王が封印された時期は分かる?』
「1000年」
「昔」
「封印弱くナッた」
「指、取り込むト強くなる」