第2章 〜まさかの再開〜
俺が教室に入った途端視線が痛いぐらいに集まってくる。
教卓の前に立って、自己紹介のために口を開いた。
「えっと、水無月詩翠。バスケ好きなんでよろしく。」
こんなもんで良かったかな?と思いながらふと上を見ると、天井の隅には俺が待ち望んでいた白い箱、もといエアコンが設置されていた。
しかも担任に座るように言われた席は窓際の一番後ろ。
俺が1番好きな席だ。
運がいいな、と思いつつ席に座ると、隣で爆睡してる奴が…。
しかもそいつの顔がこの上なく幸せそうだから起こすに起こせねぇし…。
そうこうしてるうちに授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り出す。
その途端に起きてたんじゃねぇかと思うぐらい勢い良く上体を起こして、かなりビビった。
俺の存在に気付いたのか、そいつは俺の方に寝ていたとは思えないぐらいの超絶スマイルを向けてきた。
「よっ、俺、高尾和成ってんだ!お前って水無月詩翠だよな?」
「えっ、なんで知ってんだよ?!」
確実にこいつ寝てたぞ?爆睡だったぞ?
「俺寝たふり得意なんだ✩」
…起きてたのかよ。つか✩やめろよ!
なんて言える訳もなく、ただ苦笑するしかなかった。
「でさ、バスケ好きって事はバスケ部のマネージャー志望?」
「は?ねぇな。俺はプレイヤーだ。」
ったく、女だったら全員マネージャーって考えんのやめてもらいてぇな。
「高尾はバスケ部なのか?」
「もち!つか和成でいいぜ。」
よし、今日部活行ったら高尾…じゃなくて和成と1on1しよう。
俺も詩翠で良いと伝えると、またしても超絶スマイルが返ってきた。
こいつ将来女たらしになりそうだな…と思っていると今度は授業の始まりを伝えるチャイムが鳴り出し、和成と話をしながらも授業に耳を傾けた。