第3章 ~思い出を~
あれから数週間後。
梅雨もようやく明けて本格的な夏が始まった。
俺は高校の生活にも慣れて友達もでき、今朝もチャリアカーに乗車中。
「んー、快適快適ー♪」
朝の涼しさに加えてチャリアカーのスピードも手伝い、かなり快適だ。
「過剰労働でこれ訴えよ…。」
あ、1人確実に快適じゃない奴がいたか。
「つべこべ言わず速く扱ぐのだよ。」
真太郎の鬼畜な発言で追い詰められた和成の頑張りで、今日も遅刻する事無く学校に到着した。
グロッキー状態の和成を支えて階段を上り、真太郎と別れてから教室の席に着いた。
「マジ疲れた…もう俺の生命ヤバイかもしんない…。」
む、和成にしては珍しいネガティブ発言だな。
「そんなんで死ぬ奴いねぇよ。つか今死んだら京都…だっけ?行けねぇじゃん。」
「はっ!そうだ!京都楽しみだなぁ…。」
一気に通常に戻りやがった…。分かりやすい奴だなおい…。
ちなみに和成を元気にした京都、というワード。
それは来週俺達1年が2泊3日で行く宿泊学習の泊まり先だった。
なんか修学旅行でもねぇのに結構豪華っていう所は流石私立校だな…。
数分後、来週のイベントのせいでいつもより騒がしい教室内にHRを知らせるチャイムが鳴り響いた。