第5章 Third Start
桜side
侍女の方々がお帰りになられ、部屋へ戻ると三郎さんがいらっしゃっいました
「遅いよ、待ってたんだけど」
『ごめんなさい』
そう言って彼は両手を広げます
「おいで、色々大変だったんだからさ。僕の前では甘えていいんだよ」
『はい…』
彼の傍へ行くとそっと抱きしめてくださいます
私もそれに応えようと腕を三郎さんの背中に回しました
温かい体温が伝わってきてとても心地よい気分になります
「桜はさ、頑張り過ぎなんだよ」
『そんな事…』
「そうやって自分を卑下するあたりだって言ってるの」
三郎さんは私の頬を軽くつまみ横へ引っ張ります
私が喋れずに黙っているとふと笑い出しました
「普段桜のそういう姿見たことなかったからなんか新鮮だな」
『そうでしょうか?』
「いつもお堅いって顔してるし、なんか自分を取り繕ってるみたいで」
『っ…、それは、お父様から龍哉を守るために自然としていたことなのだと思いますよ』
「でもそれがいつの間にか染み付いたままになってたってことだろ」
自分自身その様なつもりは全く無かったのですが、自分のことは他人のこと以上にわからないものなのですね
三郎さんは観察力がとてもよろしいのかもしれません
私の悩みにすぐに気付いて…それこそ助けてくださいました
皆さんは三郎さんのことを口が悪くて話しかけにくい雰囲気を持っているとおっしゃいますけどそのようなことはないのです
例えそうであってもきちんと周りに目を向ける素晴らしい心を持ったお方です
私はそんな彼とこの先を共にしていくのだと実感しました