第5章 Third Start
桜side
一郎さんに言われてふと我に返りました
思えば居候のようにさせてくださっているけれど結局帰らなければなりませんね
ずっとこの家においていただくわけにもいきませんから
「どうするって言われても…お姉ちゃんは?」
『帰ります。この家に長々と居座るわけにもいかないので』
「父親にまた同じ事されるかもしれないのに、それでも桜は帰るの?」
『そ、それは…』
確かに三郎さんの言うとおりだと思います
しかし三郎さんたちも私達がここにずっといることで彼らの負担になってしまうでしょう
そのようなことになるのなら私は帰ってもとの生活に戻ったほうがよっぽど良いと思います
『一時的とはいえ安心して過ごせる時間を作ってくださったことに感謝します。けれどこれ以上皆さんに迷惑はかけたくありません。』
「僕たちのことなんかどうだっていい、一番は桜の気持ちだ!桜はまたあの生活に戻りたいわけ?」
『っ…』
そう言われてしまえば返す言葉もありません
私はそのまま俯いてため息を付きます
いくら気持ちを押し殺そうとしても人間というものは自分の心に忠実に生きるものであり、決して無視できるものではないのです
「お姉ちゃん…」
「桜はどうしたいの?」
三郎さんが私の顔を覗いてきます
そんなもの…答えは一つに決まっているではありませんか
今まで私がずっと考えてきたことです
『私…、本当は…家に帰りたくなどありません…』