第5章 Third Start
三郎side
僕は(名前)をベッドへ寝かせると彼女の手を握って見つめる
折角の口づけのチャンスを二郎によって奪われたことが悔しく
て、思わず僕の部屋に連れてきてしまった
「桜、疲れてない?少し寝たらどう?」
『はい、そうします。』
「おやすみ…」
そう言って彼女は僕に向かって微笑んで静かに眠り始めた
普段まじまじと見ることはないが近くで見る彼女の顔はとても美しい
長いまつ毛や陶器のような白い肌、艷やかな唇
何もかもが僕を虜にする
って何を考えているんだ僕は
真っ赤になった頬を押さえて冷静になろうと試みる
だがそんなに簡単にいくわけでもない
ましてや目の前で桜が眠っているこの状況でどうやって落ち
着くんだ?
僕だって一人の男だ
ふと思った
今なら桜に口づけできるのではないかと
彼女が起きているときは恥ずかしいけど今は眠っている
今がチャンスだ
それから1時間ほど経って___
僕はまだ葛藤している
キスしようと思っても彼女に顔を近づけるだけで心臓がバクバクと音を立てる
いい加減腹をくくらないと
僕は目を瞑って彼女の唇にそっと自分の唇を重ねた
触れるだけの口づけなのに僕にとってはこれが初めてだから緊張で手に汗を握っていた
すると桜がそっと瞼を開いた
そしてはにかみながら僕と視線を交わらせた
「お、起きてたの…?」