第5章 Third Start
三郎side
『着替え終わりました』
声を掛けられて部屋のドアを開けるとそこにはブカブカなパーカーとズボンを履いた桜が座っていた
僕のものを着ていると思うと嬉しくてたまらない
「ちょっと大きかったね」
『いえ、大丈夫です。ありがとうございます。』
そう応える桜の瞳には涙が浮かべている
思わず僕は桜を抱きしめていた
すると安心したのか涙を流し始めた
そんな彼女に愛おしさが溢れ、体温を確かめるように細い腰に回した腕に力を込める
「怖かったよね、桜よく頑張った。だから今は僕の腕の中で思う存分泣いていいよ。」
顔を伝う涙を拭うように頬に手を添えてそっと桜
の唇に自分の唇を寄せると____
ガチャッ
「三郎、戻ったぞ。っていうか桜ちゃんが三郎の服を着てるってなんかおもしれえな。彼シャツか?あ、でもパーカーだから彼パーカーか」
「お姉ちゃん!」
空気を読めない二郎が帰ってきた
桜は素早く涙をふいて笑顔で話す
『龍哉…二郎さん、お邪魔しています。』
「まったく…いいところだったのに」
「あ?なんか言ったか?」
「何でもない!」
そう言い残して桜の腕を掴み、自分の部屋へ連れて行った