第3章 First Step
三郎side
存在を知らないって何?
東雲さんの出生届を出していないってこと?
「それって…どういうことなの?」
一瞬、普段の東雲さんなら絶対に見せないであろうゆがんだ表情を見せたがすぐに元に戻り口を開いた
『私は日本の戸籍に登録されていない、存在しない人物なのです。お父様は財閥を継ぐために男さえ生まれてくればよいと…そのような考え方を持つ人です。ですからお父様はその後に生まれてきた弟を第一子だと偽っているのです』
な、なんで…今時そんなことあるのか…?
「ご、ごめん。なんか話しづらいこと聞いちゃって」
でも東雲さんは嫌な顔一つしないで
『そんなことありませんよ、話を聞いてくださっただけでとてもうれしいです。今まで家庭の事情を話したことなかったので』
微笑みを崩さず接してくれる
家族の関係からするに母親の血が濃いんだろう
「お家、お邪魔しちゃっていいの?」
『気にしないでください。今、お父様はお仕事で九州におります。しばらくは帰ってきませんから大丈夫です』
でも、話しているときの彼女の瞳は何かを隠しているようで、はるか遠くを眺めているようで僕には想像もつかないくらいの重荷を背負って生きているんだと直感的に思った
その時、僕の心の中には東雲さんを守らなきゃって思う気持ちがわいた