第19章 ただ私は竜ちゃんの過去の写真が気になっただけなのに【前編】
「ははっ…責任取るとか言ったの、どこのどいつだよ…」
胸が痛い、思い出すのは栞の事ばかりで後悔したって遅いのにと胸をギュッと押さえた。恋と呼ぶには執着し過ぎて、愛と呼ぶには重過ぎる…そんな感情ばかりを募らせていった。栞はそんな俺の事なんて1度も気付かなかったけれど、でもそんな所もまた彼女の魅力なのだろう。
「あ〜あ…栞に好きだって、愛してるって…しっかり伝えておけば良かった」
竜ちゃん大好きだよと栞は自身の気持ちを真っ直ぐ俺へと伝えていたのに返す言葉を言うのが少しばかり怖くなり言えなかったのだ。言ってしまえば元の世界に返したくなくなってしまうから、俺の手で栞を幸せにしたいと望みそうになるから…反社の俺が何をと思うかも知れないけれど、それでも愛おしい彼女を俺だけのモノにしたかったのだ。
頭の片隅で栞が消えた事を、兄ちゃんや首領に連絡しねぇとな…と考える。でも今は普段通りの自分に戻るように行動し、先ずは栞が作ってくれた手料理を食べようとダイニングキッチンへと足を進めたのだ。