第20章 ただ私は竜ちゃんの過去の写真が気になっただけなのに【後編】
「竜ちゃん、早く!」
「ちょ、待って、本当にっ!手がっ…!!」
「責任取ってくれるって言ったのは嘘だったの?」
「責任の取り方がデートだとは誰も思わないだろっ!それより、本当…勘弁してっ…手握るの、ハードル高いからっ…」
竜ちゃんのフード付きパーカーと丸眼鏡を借りて手を引いて歩く私と、半泣きで引っ張られるように歩く竜ちゃん。それを面白可笑しく大爆笑する蘭ちゃんがいたりする。半分過呼吸になっていて咳き込んでいるからやっぱり今も昔も変わらないなぁ…と蘭ちゃんを見る。
「兄ちゃん、笑ってないで助けて…」
「っっ…ゴホッ…ははっ別に良いじゃん、役得だろ?手繋ぐくらいでワーワー騒ぐなっつ〜の♡」
「それとこれとは話しが別だからっ!栞の手、折れる!小さくて柔らかいんだって!どれくらいの力加減で触れて良いのか俺、本当に分かんないっっ!」
金と水色のメッシュをした髪を振り乱しながら、蘭ちゃんに助けを求める竜ちゃんに何だか私が悪い事をしている見たいでちょっぴりショックを受ける。なので竜ちゃんを見上げ眉を下げながら小首を傾げて尋ねて見た。
「竜ちゃんは…私と手繋ぐの、嫌?」
「ん゙っ」
「私は竜ちゃんと、手繋ぎたいんだけど…?」
「ん゙ん゙っっ」
「駄目かな…?」
「ん゙ん゙ん゙っっ♡」
私は竜ちゃんの指先を絡めて優しくぎゅっと握ると恋人繋ぎのようにして見せた。竜ちゃんは「ん゙」の3段活用かな?というどこから出て来たのか分からない声を出して胸を押えてしまった。わぉ、オーバーキル…そう心底同情したような声を発した蘭ちゃんがいたりする。