第19章 ただ私は竜ちゃんの過去の写真が気になっただけなのに【前編】
「竜ちゃん…?」
「ぇ、なにこれ…夢…?すげぇ可愛い子が…俺とベッドで寝てるとか…流石に、都合良過ぎじゃね…?」
「あ、えっと…おはよう、ございます?」
「ははっ…声も可愛い…♡」
竜ちゃんはとろんとした目で笑うと、私を引っ張りギュッと抱き締めて来た。オロオロする私を他所に擦り寄って来る竜ちゃんはぽつりと呟く。
「うん、夢ならいいよな…」
「えっ、あっ…竜ちゃん…?」
嘘、寝ちゃった?逃げようと腕を退かして見るもがっちりとホールドされている為身動きすら取れない。非常に困った、だがこれは竜ちゃんが起きるまでの間…やる事も特にないし、何なら私ももうひと眠りしまおうかと目を閉じた。考えた所で埒が明かない、後は未来の私に託そうと思う。もしかすると私自身の都合の良い夢かも知れないし…また目が覚めた時に考えれば良いかと早々諦めてゆっくりと目を閉じる。抱き枕のように脚まで絡んで来て、より一層竜ちゃんの体温に居心地の良さを感じながらご機嫌気味に私の口角が上がった。
ーーー
「ん゙…ん、んんっ?ぇ?」
私の存在を確かめるようにぽんぽんとやんわり撫でる竜ちゃんに目が覚めた。そんな竜ちゃんに「おはようございます?」とまた声を掛けて見る。するとゆっくりと目を大きく開けると同時に切り裂くような大きな悲鳴を上げて、私を押し退けるとそのままベッドから転がり落ちた。痛みに悶える竜ちゃんと、ベッドから足を下ろし竜ちゃんの元へ駆け寄る私、そして普段朝が起きられない蘭ちゃんも竜ちゃんのお兄さんだから、勿論同じ家に住んでいるのは当たり前の話しであり。