第16章 ただ私は春ちゃんの過去の写真が気になっただけなのに【後編】
「栞、さん?」
「春ちゃん!」
喜びの余り今いる春ちゃんへ抱き着いた、驚いて狼狽える彼から一度離れて私は笑う。
「私、今から未来に帰れるんだと思う」
「はっ?」
「本当にありがとう…助けてくれて」
また会えるかどうかは分からないけれど、その時はもっと春ちゃんの過去を知れたらいいなと願う。でも今は未来の春ちゃんに会わないと…そう想う私と春ちゃんに突風が吹き荒れ私はぎゅっと目を閉じた。
ーーー
「……帰って、来れた?」
私は急いで通話履歴から三途春千夜を探し電話する。マンションへと走る、春ちゃんに会いたい…春ちゃん、春ちゃんっ!
『お前、今までどこほっつき歩いてっ!!』
「春ちゃん…私、今凄く貴方に会いたいっ!」
『っっ…チッ…人の気も知らねぇで!!』
「私ね!今走ってマンション、向かってる!それでね!聞いて欲しい事があるの!」
『危ねぇから迎えに行くわ、ばーか!大人しくしてろっ!!』
「それでね!私!やっぱり春ちゃんの事!一番信頼してるの!」
『支離滅裂過ぎるだろ!つーかお前なぁ…そこは大好きって言えよ、馬鹿がっ!!』
マンションまで走って行く、曲がり角で綺麗なピンク色の髪が見えるのと同時に私を力強く抱き締めた春ちゃんは私の存在を確かめるように肩へ擦り寄った。凄く心配させてしまったようだった。
「ただいま、春ちゃん」
「お帰り、心配掛けさせんじゃねぇよっ…」
「ふふっ…春ちゃんの匂いだ、安心する」