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取り敢えずケーキが食べたいです【東卍夢(梵天)】

第16章 ただ私は春ちゃんの過去の写真が気になっただけなのに【後編】


「栞さん、帰りますよ」
「春ちゃん」

私の手を引いて行きますよと声を掛けて春ちゃんは連れ出してくれる。視界に入ったハイトーンベージュカラーのふわふわした髪が見えた、あれ?気の所為だろうか…あの優しげな黒い瞳がーー…

「万ちゃんそっくり…」
「はっ…?」

何故そう思ったのだろうか、話し掛けるタイミングを逃してしまう…ただとても楽しげに友人であろう彼等と話しをしている姿が眩しく見えた。何だか私の知らない万ちゃんであり、邪魔するのも悪いなと声を掛ける事が気が引けたというのもあるけれど。

ーーー

夜、春ちゃんとネオン街を歩いて行く。未来の春ちゃん…心配していないといいな。目の前に春ちゃんはいるけど、でも未来の春ちゃんじゃないから…会いたい。そう思ってしまった。

「春ちゃん…あのね」
「気になってたんですけど」
「えっ…?」
「俺と栞さんって、どんな関係なんです?」
「信じてくれるんだ…」
「いや、余り信じてはないですけど、少しだけ気になっただけです」
「そっか…」

しかしどんな関係と言われても…ただの同居人にしては距離感が遠過ぎるし?友達と言っていいのかな?それとも主人とペット…は何だか変なプレイだと思われそうだし、お兄さんと妹もちょっと違うよな…?

「うーん…大切な人」
「えっ…」
「私が一番信用出来て、信頼出来る人…大好きな人、かな?」
「それって……つまり…」

春ちゃんの声と重なるように、けたたましく鳴り響いたカンカンカンカン…とどこからか踏切の音が聞こえる。私はきょろきょろと辺りを見回した、電車は通っておらず、踏切もない為あの時と同じなのだろう…そっか、未来の春ちゃんに会えるんだ。
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