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取り敢えずケーキが食べたいです【東卍夢(梵天)】

第16章 ただ私は春ちゃんの過去の写真が気になっただけなのに【後編】


私の言葉に反応するように顔を赤くして、口元をマスクで隠してしまう。その傷のある口元もカッコよくて美人で似合っているのに…勿体ないなぁ。と残念に思った。

「隠さなくてもカッコイイのに…」
「っ、うっせぇ…」
「ふふっ…」

未来の春ちゃんよりも不器用だけれど、優しい所は変わらなくてホッと吐息を漏らした。裾を掴む手を止めて春ちゃんの指先に触れる、ビクッと肩を跳ねさせる彼は驚いた様子で私を見下ろして来た為「迷子にならないように…駄目かな?」と聞いて見た。一瞬迷った顔をして、頭をかくと大きなため息と共にぶっきらぼうで「んっ」と手を差し出してくれた。そんな春ちゃんに笑い掛けて手を握り返したのだ。

ーーー

「はっ、三途の嫁?」
「違います」
「それにしては随分と懐かれてるよな」
「あれじゃあもう…カルガモの親子だろ」
「あ゙?」

集会なのだろう…無関係な私が春ちゃんの傍にいたからか、周りからの視線が酷く痛い。それにしても不良が多く感じる…特攻服だろうそれには東京卍會と刺繍されていた。春ちゃんに迷惑を掛けているからと手を離し少し距離を取る。すると春ちゃんは小さく舌打ちして私を連れ去ると人気の少ない場所に移動させた。

「あそこにいたら危ないんでここにいて下さい」
「ごめんね…邪魔しちゃって…」
「アンタが女の子なら話しは別ですから…」
「ふふ…優しいね」
「……女の子に優しくするのは、当たり前なので」
「うん、ありがとう。そんな春ちゃんだから私は好きなんだ」
「……」

終わるまで大人しく待っていて下さい。そう猫かぶり春ちゃんは私の前からいなくなってしまった。ちょっとだけ複雑そうな顔をしていたのが気になったけれど…私は春ちゃんの言う通りに人気の少ない所でキラキラ、ふわふわとした金髪を眺めていた。
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