第15章 ただ私は春ちゃんの過去の写真が気になっただけなのに【前編】
痴女か何かと思われても仕方ないが、男と勘違いされるよりはずっとかマシだった。形を確かめるように人の胸を何度か揉む春ちゃんは漸く私が女だと分かると、ブワッと毛を逆立てる猫のように顔を真っ赤にさせ飛び跳ねるように後退りした。
「はっ…な、はぁっ!?おま、何触らせて…っっ」
「……揉んだのは春ちゃんでしょ」
「触れさせたのはお前だろうが!いきなり何すんだよ、この痴女!ブス!」
「ブスじゃない!春ちゃんは私の事可愛いって言ってくれたもん!」
「俺がそんな事言った覚えねぇよ!そもそもお前と俺は初対面だろうがっ!!」
「っっ…しょ、初対面じゃ…ないもん」
また顔を歪ませる私を見て、春ちゃんは綺麗な金髪をぐしゃぐしゃにして「だぁーもう!初対面じゃなくて良いから!もう泣くなって!俺が悪かった、それで良いか!?」と怒りながら服の袖で私の涙を乱暴に拭って来た。不器用なのは今も昔も変わらないけど、やっぱり優しいなとされるがままになっていた。
今頃春ちゃん、心配してなきゃいいけど…先ず未来に帰る事を探さないと。そうここにいる春ちゃんを見て寂しく「ありがとう」と笑った。
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