第15章 ただ私は春ちゃんの過去の写真が気になっただけなのに【前編】
「はっ…?栞…?」
さっきまで俺の隣にいた、手も繋いでいたというのに急な突風に一瞬目を離した隙に目の前にいなくなってしまった。
「ははっ…」
俺を捨てたのか、俺を裏切ったのか?いや…今回ばかりは栞自身も全く予測出来なかった事だろうから仕方ないとして。だがやっぱり外になんて出さなければ良かったと後悔する。
「俺から離れられると思うなよ、アイツは俺のモノだ…」
きっと今頃泣いて春ちゃん春ちゃんと助けを求めているに違いないと苛立つ気持ちを抑え込み、首領であるマイキーへと連絡を入れる。
「マイキー…栞が姿を消しました」
忽然と突風に煽られ、文字通り消えたのだと説明する。するとマイキーから大きなため息と共に俺へと命令を下す。
『きっと今頃泣いて寂しがっているだろうな…探せ。梵天の力を全て使ってでも、血眼で探し出せ。良いな三途』
「うっす」
全く、とんだお姫様だ。と携帯の電源を切った。梵天の人脈と金脈を使ってでも探し出せと首領直々の許可が降りた為、次に連絡するとすれば…九井からか。その次は灰谷兄弟と頭の中で優先順位を決めて連絡を取る。
「この俺様がここまでするとか先ずねぇからなぁ…帰って来たら覚悟しとけよ」
そう俺は舌打ちし、栞の面影を探し始めたのだ。