第12章 やっぱり俺が責任取るわ。
「栞、こっちを見ろ?」
「ひゅー…ひゅー…」
「大丈夫。俺が栞の不安を全部助けてやるから先ずは落ち着こうか」
「ぅっ、ふぅ…ふっ…」
「良し、いい子だな…それじゃあ次はゆっくり息を吐けるか?」
心臓が聞こえるように抱き寄せた、ドクンドクンとゆっくり伝わる心臓の音に漸く落ち着きを取り戻しつつある。次はゆっくり息を吸って、吐いてと俺の声と同じように深呼吸を繰り返す。栞の気持ちが落ち着くまで片時も離れずずっと背中を撫で続けた。
ーーー
「……栞?」
「ごめんなさい…初対面なのに、迷惑ばかりっ…」
「良いよ、大丈夫…落ち着いたか?」
「はい…」
「そうか、良かった…なぁ、栞。俺から提案があるんだけどさ」
「提案、ですか…?」
未だ俺の胸元に擦り寄り申し訳なさげに見上げて来る栞が、本当にめちゃくちゃ可愛いとニヤけそうになるのを必死に我慢する。但しセクハラだと思われたくはない為、抱き締め返すという事はしないが。