第12章 やっぱり俺が責任取るわ。
「理由は良く分かんねぇけど、何か訳ありっぽいよな…立てるか?」
「えっ、は、はいっ…」
「今は走るぞ、俺に付いて来て…」
引っ張り上げて目を丸くさせる女の子に安心させるような笑顔を向けてから走る、こっちだと声を掛けて抜け道を使いながら夜の街を駆け抜けて行った。
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声や足音すらも聞こえなくなり、撒けたか?と彼女を隠しながら辺りを見渡す。すると胸を押さえて浅い呼吸と咳き込む声に狼狽えてしまった。俺の歩幅で走り回ったから相当キツかったんじゃねぇのか?女の子ってそんなに体力ないものなんだなと労るようにそっと背中を撫でた。
「はっ…すみ、ませっ…」
「いや、悪い…」
辛いなら無理して話さなくていいから、そう思い手首から手を離す。そして目を疑った。色白の腕にびっしりと浮き出た手のアザ、俺が握り締めてしまったせいで真っ赤に腫れ上がり変色していたから血の気が引いていき顔色を悪くさせる。こんな綺麗で可愛らしい女の子を傷物にしてしまった罪悪感で押し潰されそうになった。
「ご、ごめっ…」
「大丈夫ですよ、寧ろ助けて頂いてありがとうございました…」
「いや、でも…直ぐに冷やさねぇともっと酷くなるだろ。あ…あのさ、俺の住んでるマンションが近くにあって…警戒するのは分かるんだけど、そんな事するつもりは絶対ねぇって約束するし…」
「……お兄さん、お名前は?」
「えっ…灰谷竜胆、だけど…」
「竜胆さん…私は水無月栞と言います、あの…もし宜しければ、マンションにお邪魔させて貰っても構いませんか?」