第7章 後日お兄ちゃん見たいだと伝えれば、頭を撫でられた。
パソコンに目を向けて手を動かしていたがピタリと止まった。そして恐る恐るというようにこちらを見上げるお兄さんは大きく目を見開いた。
「ぃゃ、ぇっ…ぉ、女、の子?」
「初めまして…?」
「マジで…?えっ…女の子、だよな。俺仕事し過ぎで幻聴と幻覚が聞こえて見えるようになった?はっ?嘘だろ…?」
「あぁー…幻聴幻覚ではない、ですかね?」
「……すぅ、ふぅ…あっ、本当にいるわ」
本当にいますよー…そう言われた通りにドアを閉めてから軽く手を振って見れば「アッ、ファンサ、スゴイ♡オンナノコ、カワイイ♡」と片言で話し始めた。近くに行っても良いだろうか…でも仕事中だし邪魔しちゃ悪いかな。というか私がここに入ったせいで、既に仕事を中断しているから今更なのだけれども。チラリと視界に入ったコーヒーメーカーを見て口を開く。
「お邪魔してしまったので、コーヒー入れますね」
「えっ、いや…お構いなくっ!」
「エスプレッソで大丈夫です?」
「えっ…あっ、はい」
どうしてこうなった?と頭を混乱させるお兄さんを横目に強引な手を使って、コーヒーを入れていく。と言ってもボタン1つの簡単操作だからありがたい。最新機種だろうか、お洒落なデザインが最高に私好みだしエスプレッソ以外にもカフェモカやカフェラテ、カプチーノ等も作れるようだ。うん…ちょっと欲しいかも。
出来上がったエスプレッソをお兄さんへ手渡す。未だに混乱しながらも受け取ってくれたお兄さんは、気持ちを落ち着かせるようにコーヒーを一口飲んだ。