第7章 後日お兄ちゃん見たいだと伝えれば、頭を撫でられた。
「ーー…それで、栞はやっぱり元の世界に帰りたいか?」
「!…マイキー」
「三途は黙ってろ、俺は栞に聞いてるんだ」
真っ黒な眼光で春ちゃんを睨む万ちゃんにぐっ…と言葉を詰まらせた春ちゃんは「すみません」と謝罪した。そして私へと万ちゃんは向き直ると柔らかい笑みを零す。
「この世界に来てから、かれこれ1ヶ月近く経つけどずっと家にこもりきりだろ?ここの女は良くも悪くもその生活が当たり前だから気にならないと思うけど、栞はそうじゃないだろうしさ」
「……外に、出てもいいの?」
「うん良いよ。ただ余り治安は良くないから…最低1人は幹部を連れて行くとか、服装はなるべく男っぽくしないと行けないとか…色々と制限はあるけど。それを守れるなら外出しても構わない」
「……帰りたい。外に出たいっ、もしもまだ私の世界に帰れる手掛かりがあるのなら、私は探したいっ…」
「そうか…分かった。そう言う事だから…三途、構わないな」
「……っ、分かりました」
万ちゃんと話しを終えてから、一度三途と話しがあるから隣の部屋で待っていて欲しいと声を掛けられる。隣の部屋へと案内されてドアを開けると、さらさらした長い銀髪が目に入る。ツリ目で眼差しが鋭く爬虫類のような綺麗な顔を持つ男性が、ただただ無心に札束を数え、裏帳簿だろうそれを黙々とパソコンへ打ち込んでいた。私がそれをぼーと見ていたからか、苛立つように爬虫類顔のお兄さんは舌打ちして声を掛ける。
「おい、いい加減ドア閉めろよ」
「えっ、あ、ごめんなさいっ!」
「ーー…はっ?」