第6章 私今日ほとんど寝てる気がする。
「はるちゃん…」
「ん?ふは、なんだ…寝言かよ…」
大丈夫、大丈夫だからな。可愛いお前を俺が捨てる訳ねぇのにさぁ…そう思うが口に出してはやらない。俺は優しくねぇから、栞が依存してくれる方が飼い慣らしやすく、縋り付いて来るコイツが余りにも可哀想で可愛いからだ。あぁ…薬はキメてねぇのに、栞自体が俺に取っての麻薬そのもので…もっと俺の所まで堕ちて来い。そう唇へとキスを落としうっそりと笑った。
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「んっ…あれ春ちゃん、起きてたの?」
「お前のイビキが五月蝿くて眠れてねぇんだよ」
「イビキなんてかいてないっ!」
「はぁ?寝てたんなら知らねぇだろ」
「えっ、えっ?嘘…嘘だよね?ねぇ、春ちゃん、私五月蝿かった?ねぇ…」
「さぁ、どうだろうなぁ?」
目が覚めると私を覗き込む春ちゃんがいる。既に空は夕方を迎えていた、イビキが五月蝿くて眠れなかったという春ちゃんは怒っているようには思えず、寧ろ機嫌がいい。夕飯の支度をしなければ、洗濯物も干しっぱなしだと起き上がろうと体を起こすも、春ちゃんに引っ張られてまたベッドへ逆戻りしてしまった。
「春ちゃーん…洗濯物が干しっぱなしだし、夕飯の支度をしないと」
「じゃあ今日は出前でいいな、洗濯物は後で取り込めばいいだろ」
「えぇー…」
「栞が居ねぇと眠れないんだよ…」
「!…やだ、春ちゃん可愛い」
「お前の春ちゃんはずっと可愛いだろうが、巫山戯んな」
「ふふ…なにその返し」
「うるせぇ…寝不足で頭回ってねぇんだよ、良いから俺専用の抱き枕になれって…」