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取り敢えずケーキが食べたいです【東卍夢(梵天)】

第6章 私今日ほとんど寝てる気がする。


「一緒に寝る?」
「………はっ?」
「お昼寝。春ちゃんが嫌じゃなければだけど…」
「ーー…寝る、今直ぐ寝る」

一瞬複雑そうな顔をしたけれどやはり眠気には勝てなかったのか、何度も頷いた春ちゃんは私を抱き上げて一直線に寝室へと歩いていった。私を抱き枕のようにして、春ちゃんは目を閉じる。先程まで苛立っていたように思えたが、今はご機嫌そうに笑っていた。私は春ちゃんの心臓の音を聞きながら、同じように目を閉じる。こんなにゆっくりな日もまたありだなと春ちゃんの背中に腕を回しそのまま意識が沈んで行った。

ーーー
ーー


全て夢ならいいのに。会いたい…お父さんとお母さんに会いたい。今頃心配しているのではないか、もしかするともう私はあちらの世界では死んでいるのかも知れない。そう思ってしまうと、二人は泣いているんじゃないかと考えを巡らせてしまうのだ。帰る場所がない、私はこの世界に居場所がない。不安で押し潰されそうになるのを何度も我慢する。怖くない訳がなかった、今だって春ちゃんに愛想を尽かされたら私は生きて行けなくなるのだから…そう思うと怖くて怖くて堪らない。

「おとうさん…おかあさん…」
「大丈夫…春ちゃんがずっと一緒にいてやるからなぁ?」

泣きながらうわ言のように眠る栞の背中を優しく撫でた。漸く慣れて来たが最初の頃は何度か栞が魘されている声を聞き、その都度顔を覗き見に行った。錯乱するように「嫌だ、怖い、会いたい、帰りたいよ…」と泣く彼女を抱き締めて赤子のようにあやし寝かせ付ける。驚く事に次の日は全く覚えていないから呆気に取られたのは今となっては懐かしく思えた。今日はまた夢に両親が出て来たのだろうか…栞をぎゅっと抱き締めれば安心するように乱れていた呼吸が落ち着いて来たから安堵する。
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