第3章 ぎゅーって抱きしめて?♡
「は?蘭ちゃん?」
「え、あ…はい。蘭ちゃんって呼べと言われたので?」
「何それ、羨ましい…俺も竜ちゃんって呼んで?後俺もハグ欲しい。どうせ兄貴にはしたんだろ?一回、二回とハグしたんならもう三回目も一緒だろ、なぁ?♡」
「えぇー…」
やっと蘭ちゃんのハグから解放されたのに?ただ不貞腐れている竜胆さん、改め竜ちゃんの機嫌を直さないと後々大変なのも事実…ええいままよ!!そう春ちゃんと初めて会った時と同じように竜ちゃんへと飛び付き抱き締めた。
「ぇ、ぁ…ちょっと、待って…ひぇ、ちっさ…ぃ♡」
「あれ、竜ちゃん…?抱き締め返して来ないの?」
「わ、悪いっ…でも俺が抱き締めたら、栞…壊れそうで…関節、外れる…」
「そんな馬鹿な」
「無理、絶対無理っ!」
「いや、大丈夫!強く抱き締めなければ、女も案外丈夫に出来てるしそんなヤワな体してないからっ!」
だからね、私を信じて?そうアラブの王子様のような台詞をはいた私は、竜ちゃんの胸元に抱き着いたまま見上げながら小首を傾げて見せた。すると途端にじわじわと顔を真っ赤にさせた竜ちゃんが「アッアッアッ、カワイイッ…ムリッ」と片言に話し始め両手を顔に覆うと上を見上げてしまった。竜ちゃんの顔も蘭ちゃんと似て端正な顔立ちをしており可愛い系なのに、今は限界オタク見たいになっていてちょっと面白いなと思ったのは内緒である。そんな可愛い反応をされると、悪戯で少し遊びたくなるじゃないか!とあざとく笑い口を開いた。
「私は栞。ぎゅーって抱きしめて?♡」
「ん゙ん゙っ!!」
次は雪だるまの有名な台詞を言って見たが、やはりというのか抱き締め返してはくれなかった為未だ無理無理と顔を覆う竜ちゃんの腕を掴むとゆっくり下へとおろさせた。