• テキストサイズ

尽きぬ命 愛が尽きるその日まで

第10章 さよなら北の海


誰にも起こされずパチッと目が覚めた。
ナデシコはまだ起きていないみんなを起こさないように船内を歩いた。
朝の寒さに体を震わせ、冷やさないように毛布を肩にかける。
船内を歩いているとベポが外から戻ってきたとこに鉢合わせた。


「あれ?ナデシコじゃん。早いねもう起きたんだ。」

「あ、ベポさん。ベポさんは見張り?」

「そうだよ。みんなが起きたらちょっと寝るけど。
物音がしたから確認しに来たんだけどもしかしてナデシコ?」

「あー、かもしれないです。他の皆さんはまだ起きてなかったので。」

「そっか。じゃあおれは外に戻るから何かあったらすぐ呼んでね。」


「はい!」


ベポと分かれるとナデシコはローがうたた寝しているかもしれない操縦室に向かった。

コンコンとノックをしても返事がなかったが扉の鍵がかかってなかったので開けてみた。
海図を広げその上に腕と頭を乗せてスゥスゥと寝息を立てている。
その海図にはリバースマウンテンの行き方や周辺の海のことが書き込まれている。


(あの後、寝なかったのかな?)


ペンも使いっぱなしで寝落ちたのか手の中にあった。
まだ起こさないでおこうとそっと自分が使っていた毛布をローにかけた。


「ん…コラ…さん?」


寝言なのかもぞもぞと動く。


(コラさん?あ、そういえば前に恩師がって言ってたっけ?)


ナデシコは寝ている彼に優しく微笑み部屋を出ようとした。


「どこへ行く?」

「え?」


振り返るとローが目を開けじっとこちらを捉えていた。


「どこへも行きませんよ?すみません。
起こしちゃいました?」

「気にするな。それよりこっちへ来い。」

「……?」


ナデシコは言われた通りローの近くへ来る。
ローはナデシコが近くに来ると彼女の手を取った。
その手をじっと見つめる。


「あの…どうかしました?」


ナデシコの質問に答えずただその手をじっと見る。
しばらくするとゆっくりとローが口を開いた。


「綺麗すぎる手だな…」


何度戦っても消えていく傷にローはため息をついた。
/ 91ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp