第8章 知らない感情
2人のやり取りにベポが間に入った。
「ナデシコもキャプテンも落ち着いて?」
2人は同時にベポを見る。
「「至って冷静だ(です)」」
ローは話に入るなと怒るように、ナデシコはキョトンと何が悪いの?とでも言いたげに。
「はい…すんません…」
ベポはズーンと落ち込む。
「と、とにかくまずは船長もナデシコもその手を下ろしましょう?」
ペンギンに言われ、ローはその手を離しナデシコはナイフを下ろした。
「……えっと、お騒がせして…ごめんなさい?」
ナデシコはコテっと小首を傾げる。その様子を見たローはハァッと深くため息を吐いた。
「あのなぁ?傷の回復を見せてぇなら手首でも良いじゃねぇか。いや、そんな事じゃねぇ…。てめぇでてめぇのこと傷つけるなよ。」
「でも、こうしないと信じてもらえないですよね?」
「だからってもっと他に手はあるだろ。」
2人のやり取りをシャチが遮った。
「あの…なんの話しなんですか?」
シャチの問いかけにナデシコがどう答えればいいか迷ったがすぐに小さな声で自分の体質を話したかったとボソボソ呟いた。
「シャチさんたちは不老不死とかあったら…なりたいと思います?」
「不老不死?あぁ〜。あんまり興味無いっすね…
なんでそれを?」
「私が不老不死だから…です。」
「へぇ〜そうな…ん。え!?
不老不死!?」
シャチは驚きひっくり返りかけた。
「……はい。」
「なぁ…ま、まさかもしかしなくてもおれ達より歳上…
てかいくつだ!?見た目は俺らより変わらないか1つ2つ下だろ?」
ナデシコは困ったように笑った。
ローが補足に口を挟む。
「だからって普通の人間と変わらないからそんなに気にすることねぇだろ。」
「じゃあ、海軍や政府に追われていた理由ってそれってことすか?」
ナデシコは頷く。その表情は少し不安そうだった。
(やっぱり、話さない方がよかったかな…。
海軍や研究所に引き渡そうなんて思われたら…)
不安に思うナデシコとは別にハートの海賊団の反応は反対のものだった。
「じゃあ、おれらもっと強くならなきゃっすね!」
シャチの言葉にベポとペンギンが「おう!」と声を上げた。