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尽きぬ命 愛が尽きるその日まで

第8章 知らない感情


ナデシコは彼の優しい声や言葉にて、胸の奥にほわっとした温かみときゅっとした何かを感じた。


(ん?今のなんだろう?)


温かみはとても心地良く感じ、きゅっとしたのはなんだかくすぐったい感じがする。


(まぁいいや)


ナデシコはその後、何事もなかったかのように振舞ったが1つの決心をしていた。
それは今後旅するに当たって知っといて貰わなければならないこと。
自分の体質を話す。それは賭けに近いものだ。
船の長にバレてしまった以上、利用されるかもしれないがそれでも彼らに託そうと思った。

みんなのやることが一段落した時、大事な話があるとみんなを呼びつける。


シャチやベポはなんのことか分からずナデシコが喋り出すのを待った。ローも壁際に立っている。


「それで、話って?」


ベポが話を切り出した。
それに対してナデシコは下を向く。
いざ話そうと思うと喉がつまり言葉が出なくなる。


(大丈夫、もう自分は彼らに託すって決めたんだから)


そう心を落ち着かせようとしてもなかなか言葉にすることが出来なかった。


「……えっと、何も言わずにまずこれを見てください…。」


ナデシコは小さなナイフを自分の首元に頸動脈を切ろうとした。


「え!?」

「あ、おい!」


シャチとベポが驚きナデシコを止めようとする。
首元のナイフをスライドさせようとしたらガシッとたくましい手に手首を握られた。


「てめぇ!何してやがる…!!」


ローがナデシコの手首を握っていた。


「え、私の体質のことを…」

「いくら死なねぇ体って言ってもな!
てめぇの体をそう易々と傷つけてんじゃねぇ!」

「でも、私は…別に自分で傷つけるくらいなら平気ですし…。」


なぜ止めているのか分からないと言った表情をしていた。


「なぁ、お前の言う“研究所”とやらで何をされてたんだ。」

「え?」


ローの突然の質問にナデシコは困惑した。


「何をされていたんだ?嫌なことを思い出させちまうがそれも話せ。」


ローの目がギロリとナデシコを睨みつける。
しかしその瞳には冷酷というよりは心配、怒りなどが混ざっているような厳しい目をしていた。
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