第2章 ふたりぼっち
○○○年後
もう、月日すら分からなくなりつつあった日常は突如崩れ落ちた。
いつものように山菜を取っていると何かに気づく。
「ふえぇ」
初めこそ空耳かと思い、気にも止めなかった。
「まぁ、山には色んな動物がいるものね」
自分に言い聞かせるように独り言を呟き山菜取りを続けた。
「ふぇぇ…あーん!あーん!」
それが聞こえた途端ナデシコは顔を上げて辺りを見回した。近くに赤子がいる!
見た目は15〜16の少女だが生きる力は、生きる経験はそこらにいる老人より遥かにある。
声を頼りに山菜を持ちながら走り出した。
「どこ?どこにいるの?」
ガサガサと山を走ると1つの小さなカゴを見つけた。
ナデシコはピタリと木の影に隠れてカゴの様子を伺う。辺りに人の気配がないことを確認するとナデシコはカゴを確認した。
カゴの中にはやはり赤子が大きな声で泣いていた。
生まれたばかりではなさそうだがなぜこんな所に?そう思っても始まらずナデシコは赤子を抱き上げた。
赤子は男の子だということが分かった。
まだ乳飲み子の年齢だと察すると1度家に連れ帰った。
未だに泣いている赤子をどうすれば良いの戸惑う。
「さすがにあそこには放っておけないし…」
戸惑うナデシコに赤子はさらに大きな声で泣き出した。慌てて抱き上げよしよしとあやすが赤子は泣き止まない。
「お腹空いてるの?ちょ、ちょっと待ってね!?」
慣れない手つきで赤子を背負い採りたての新鮮な野菜と山菜に時々、山で釣った魚を手にし山を下りた。