第6章 実力がモノを言う
ナデシコは男と向かい合う。
攻撃をするのは簡単だけど
あの人を傷つけないようにするのは…
「ハァ!」
ナデシコは走り出し薙刀を地面に突き立てまるで棒高跳びのように飛び上がる。
それに驚いた男はナデシコを眺めている。
薙刀を地面から軽く抜いて男の後ろに着地した。
すぐさま振り返り男のみに当たるよう薙刀を横に振る。
「ぐあぁ!?」
男は横腹を強打され痛みに耐えきれず女を放す。
女はすぐさま男から離れ一緒に捕まっていた人達の方へ向かった。
シャチはユイルの蹴りをお腹で食らい悶える。
倒れる隙もなくシャチは顔面にパンチを食らった。
「ガハ…!」
ガクンと膝をついて完全に倒れるのを防ぐ。
「シャチさん!」
「おれにかまうな!大丈夫。ちょっと油断しただけだから」
ニィっと歯を見せて笑うシャチを心配そうに見つめた。とにかく今は目の前の被害者と男を何とかしなければならない。
ナデシコはチラリと男二人を見る。
1人は完全に伸びていて、もう1人はまだ意識がある。
すぐにシャチの助太刀に行きたがったが彼に意識がある以上迂闊に離れることが出来ない。
「チッ…女1人に男2人がやられるなんて、グズ共…」
「あ!?おい!」
ユイルがシャチから離れてナデシコの方へ向かった。
ナデシコがユイルを視界に入れた時は既に拳を振り上げられていた。
“ルーム”
“シャンブルズ”
「ぎゃああああ!?」
ナデシコがいた場所には男が立ちユイルに殴られる。
ナデシコは何が起こったのか分からなく響いた大声に振り向いた。
「まったく、ようやく証拠を見つけたぞ。
海軍になりすましやがって…」
建物からローの声がした。
「お前は…知っているぞ。
トラファルガー・ローだな?」
ユイルはじろりとローを睨みつける。
ローはニヤリと不敵に笑った。