第6章 実力がモノを言う
ナデシコの前にシャチがやってくる。
「シャチさん!?」
「ナデシコは3人を守っててくれ!
船長が来るまで耐えてみせるから。」
シャチはニィっと爽やかに笑った。
それを見た男もガハハと豪快に笑う。
「ここに1つ男の死体が出て女4人は行方不明。
次の日にゃ貴族の奴隷となってるだろ。いいじゃねぇか!」
ナデシコは薙刀を握る手に力を入れた。
男はバサリと上着を脱ぎシャツ1枚になる。
「はぁ!!」
拳を大きく突き出してきた。
大柄な男の攻撃をシャチは軽々しく避けていく。
「お前らは女共をやれ。」
後ろにいた男らがニヤニヤと笑いながらナデシコに近づいてくる。
「ユイル船長、どれぐらい痛めつけていいんですか?」
「程々にしろよ。特に顔を傷つけたら客は値段を渋る。
特にその薙刀を持つ女は上玉だからな。
売り飛ばせばかなりの額にはなるだろう?」
「へい!」
薙刀を構え男たちと間合いを図る。
しかし、背後にいる彼女たちから離れる訳にもいかない。
緊張感が手を汗で湿らせた。
「へっへっへ!じゃあうぉりゃ!」
1人の男が刀を振り出した。
ガキン
大きな音と火花が立った。
ナデシコは静かにじっと相手の攻撃の様子を窺う。
すぐにもう1人の男が斬りかかろうと走ってくる。
男の持つ刀を飛ばそうと大きく薙刀を振る。
クルクルと薙刀を回し勢いをつけて峰打ち狙いで男の首を狙った。
「はっ!」
「どうしたグラサン男?
そんな拳だと俺に傷なんかつけられねぇぞ。」
シャチはユイル船長と呼ばれた男と殴りあっている。どちらかと言えば劣勢ではある。
シャチの拳を片手で受け止め防ぎその隙に間合いを詰められシャチは後ろに飛んで距離をとる。
「そうかもな?」
ハァハァと息を切らしユイルを見つめる。
「ハァァァァ!!」
「ゴフ…!?」
ナデシコが薙刀の柄で1人の男の首元を叩きつけた。
その勢いに男は気絶した。
「おい!動くんじゃねぇ!この女がどうなってもいいのか!?」
背後から声がしてナデシコは振り向いた。
そこには先程の手下が助け出した女を羽交い締めして首元にナイフを突きつけていた。
「た、助けて…!」
「貴様…!卑怯だ!」
ナデシコが叫び2人に近づいた。