第5章 知らなかった世界
ローと一緒に町へ出て知らなかったことばかりで世界がキラキラしている。
遥か昔、もう遠い過去。生まれたばかりの子どもの時みたいに目の前の世界が輝いている。
世の中には美味しいパンやアイスクリームがあったり
町ゆく子どもたちが楽しそうに色んな遊びをしている。
「私、生きてて良かった。」
「はぁ?何言ってやがる…」
「いえ!なんでもないです…!」
にこりと微笑むナデシコはドキッとした。
アイスを食べ終えると2人はいよいよ本命の服を買いに向かった。
服屋が並ぶ通りを歩いているとナデシコは落ち着きなさそうにキョロキョロと辺りを見回す。
マネキンに飾られた服の可愛さに見とれたりする。
「あぁいうのが好きなのか?動きやすい服にしろよ?」
「分かってますよ。ただ、世界にこんな可愛い服があるなんて知らなくてつい…」
2人は服屋に入るとローは適当にパーカーを選ぶ。
ナデシコはその間キョロキョロと物珍しそうに辺りを見回した。
その中に特に目を惹かれるワンピースを見つける。
それを手に取り鏡の前で体に合わせて見てみる。
「かわいい…!」
ふわりと揺れるスカートに心が踊った。
会計を済ませようと店の店員と話していたローがふとナデシコを見る。
鏡の前で服を見て揺れる彼女にため息を吐いた。
「すまねぇ…あれも買うことにする。
すぐに着ることはできるか?」
「えぇ、更衣室はその裏にあります。」
「金は?」
「7500ベリーです。」
ローはお金を渡すとナデシコの傍に行く。