第5章 知らなかった世界
ナデシコはローの声で起こされた。
「おい、いつまで寝てる。」
「んぇ…もう朝ですか?」
「あぁ、とっくにシャチとペンギンは町へ向かった。
おれ達も準備していくぞ」
ローはスタスタと先に歩いていった。
ナデシコも慌てて着替えてローのあとをついて行く。
町に出るとやはりうろうろと海兵たちが歩いている。
それを見たナデシコがキュッとローの服を握った。
不安と緊張が伝わってくる。
「安心しろ。普通にしてれば気づかれねぇだろ。」
ローはそう言うとパーカーのフードを深く被らせた。
町をあるいていると知らない食べ物が並び服屋にはふわりとしたワンピースが飾られている。
「ねぇ、ロー?あれは何?」
「あぁ?あれはパン屋だな。食ったことないのか?」
「あれがパンていうんだね!
捕まってた時、時々出される食事にあった気がする。
あんまり美味しいとは思えなかったけど…」
「食ってみるか?」
「いいの?」
ローは返事もせずパン屋に入る。
「いらっしゃい」
「店主、この店で美味いパンはあるか?
2~3個もらいたい。」
「あぁ、それならパン自体の味を楽しむならこのバターロールなんてどうだい?
それと、こっちのサンドイッチはおれの自慢なんだ。
ハムとレタスこの島で育てた豚とレタスを使ってるから絶品だぜ。もちろんマヨネーズソースとチーズはおれが牛乳から作ってる。
それとさっき焼けたばかりのクロワッサンもどうだい?」
店主の説明を聞いてローはナデシコを見下ろした。