第5章 知らなかった世界
ハァハァと呼吸が荒くなりまた目眩が起きそうになる。
それを見たローがすぐさまナデシコに駆け寄りしゃがむよう促した。
「ゆっくり息を吐け。そうだ。少し息を吸ったら息を止めろ。」
ナデシコはローの言う通りに呼吸をする。
すると少しずつ楽になり、普段通りの呼吸が出来るようになった。
「……これだと上陸は厳しいっすね。
買い出しはおれ達だけでやりますか?」
シャチがその様子を見て心配そうにする。
「すみません…お騒がせして…迷惑ですね…」
呼吸を整えながらハートの海賊団の青年たちを見上げる。やっぱり1人でいるべきだったのかもしれない。
「迷惑だなんて思ってねぇよ。」
ローはぶっきらぼうに答える。しかしその声にはぶっきらぼうなりに心配が混ざっていることを幼なじみである船員は感じた。
「まだ到着まで時間がある。
一旦、船を止めてどうするか考えよう。」
シャチが頷くと自動操縦を停止させ1度、船を海上に浮上させた。