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尽きぬ命 愛が尽きるその日まで

第1章 永遠の牢獄


すぐに周りの変化にナデシコは気付かされざるを得なかった。

今まで仲良くしてくれた人が子を産み、その親が亡くなる。

その様子に気づくまで50年ほどはかかったのではないかと今となってはすぎた話でしかない。


「カカ様?また友達が亡くなりまして…
ねぇ、カカ様?私はいつになったら大人になるのですか?」


ナデシコの純粋な疑問は母親の胸を抉った。


「ナデシコ…ごめん。ごめんね。
普通の子として産んであげられなくてごめんね…」


やがてナデシコが17歳くらいの少女になる頃には母親は齢87で亡くなった。


ナデシコは友人が出来ては歳を取りやがて亡くなる。
年老いてく彼らを見るのはとても辛いことだった。

やがてナデシコの不老不死の噂は村中に広まりやがてナデシコは一人で山の奥へと身を潜めるようになった。


時が経ち人が変わるとその噂はおひれはひれとなり現実味がなくなる。
いつしか、山には不老不死ではないかと思われる妖怪がいるという話に変わっていった。



しかしナデシコは変わらず山にある小屋で畑を作り、生えている山菜を採り生活は質素ではあるものの人並みに過ごせていた。
時折、米や肉が必要になると畑で作った野菜と交換しに村へ出る。

その時はなるべく顔がバレないように行くことに気を使った。
不老不死と理解するまで時間がかかったが、誰かが死んだ時には思い知らされていた。
自分は歳を取らない存在だったのだと。

あんまり…人と関わりたくないけど…

人と関われば自分の存在がその人の中でかけがえのないものとなる。
そうなると人と人は繋がりを持ち切れる時にそれは浮き彫りになっていく。
ナデシコはそれがどんなに恐ろしいことなのかよく分かっていた
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