第3章 動き出した運命の歯車
ナデシコは男の手を振り払おうと暴れたが体格差や筋力の差により敵わなかった。
「中将、女は…あぁそちらにいらしたんですね。」
海兵がやってきてほっとしたような表情を浮かべた。
「別に、君を殺すつもりはないよ。
ちょっと聞きたいことが増えただけだ。」
そう言うと重そうな手錠をナデシコに嵌めた。
「いや!殺さなくたって痛いことされる!」
走り出しドアに体当たりをした。何としても逃げなくてはと体が動く。手錠を嵌められてもピンピンしている彼女に海兵たちはまた驚いた。
「海楼石を嵌めてもピンピンしてる…能力者ではないのか!?」
「そう言えば海に落ちた時、泳いで上がってきてたよな」
ナデシコがまだ暴れると見て、中将は部下に何かを持ってこいと指示した。すぐに何やら注射器を持ってきたかと思えばナデシコの首に薬を注した。
チクリとした痛みが来たかと思うと体がだらんと抜け意識も瞬く間に消えていく。
次に目を覚ました時は見たことも無い機会が並べられている部屋に冷たい台の上に固定されていた。
「あぁ、やっと目が覚めた?」
見たことない服を来て顔を隠している人物がナデシコを覗き込んだ。
「ここは…?それに…これはなに?」
「あぁ…これ?これは君が暴れないようにするためだよ。キミは…ナデシコくんは治癒力が高いのか分からないけど弾丸に撃たれても死なず傷も治ってたって話があってね。」
男はペラペラとカルテらしきものをめくった。
その瞬間ナデシコは悟った。
実験というものに使われる。
抵抗するにもガッチリと拘束された体では何も出来ない。
絶望してる中、注射器で血を抜かれる。
こうして地獄の生活が始まった。