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尽きぬ命 愛が尽きるその日まで

第3章 動き出した運命の歯車


海軍の軍人は不思議そうにナデシコを見る。

「しかし、キミは運がいいのかい?
あんなに激しい戦いに巻き込まれて怪我のひとつもしてないなんて…?」

「あ…えと…そうですね…この船はどこへ向かってますか?」

「海軍の基地がある近くの島を目指しているよ。
そこで君のことは色々調べたいんだ。
どこから来て、どこへ行こうとしたのか。
今はこの客室でゆっくりしてて欲しい。」

男に言われた通りナデシコは椅子に座った。

するとまた、大きな音が鳴り響くとぐらりと船が揺れる。

「何事だ!?」

「また海賊の襲撃です!」

海賊は次々と乗り込み始めたらしく混乱を極めていた。

「わかったそっちへ行く、お前は彼女の護衛を」

先輩なのだろうか?らしき男が急いで現場へと走っていった。

「大丈夫です、必ずお守りしますので御安心ください」

若い男性はにこやかに笑ったが30分もしないうちに戦況は不利ではないかと気付かざるを得なかった。

海賊が船の中へ忍び込んできたのだ。

「おや?女がいるたァ訳ありか?」

海賊がげへへとイヤな笑みを浮かべる。

「貴様!容赦はしないぞ!」

海兵が海賊に剣を構えた。海賊も容赦はしないと海兵に斬りかかってくる。

カキンカキンと剣が交わる音が響いた。
ナデシコはそのやり取りをどうしようとその様子を見守る。
余所見をした瞬間だった。


大きな銃声が聞こえ、ナデシコの体に痛みと局部的に衝撃が走った。

「しまった!?」

胸から背中にかけて弾丸が貫かれる。
慌てた海兵が海賊の体を切りつけたあとナデシコに駆け寄った。彼女はパタンと倒れたがその体を見て驚きを隠せなかった。
穴が空いたはずの背中にその弾丸の傷がじんわりと消えていく。
服には弾丸が貫いた後がある。

「う…うわぁ!?能力者か!?」

(バレた…!)

ナデシコは立ち上がると慌てて走り出した。

どこに行けばいいか分からないがとにかく見つかったら良くない気がする。本能が体を動かした。

「いたぞ!」

しかし、海軍の船の仕組みを理解してなかったナデシコは船全体に情報が行き渡る早さが分からなかった。
すぐにその船の中では地位の高そうな男に捕まった。
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