第4章 総長と副総長
タケミっちは山岸くん達に笑ってたけど、ふと考えるような顔に変わる。
(ん?二人を仲直りさせたって事は、抗争は起きない。8月3日、ドラケンは死なない)
アタシが不思議に思って見てると、タケミっちは突然その場に仰向けに寝転がった。
(歴史を変えた…!!!ミッション成功だ!!!!やったぞナオト)
疲れたのかな?
「大丈夫?タケミっち」
「大丈夫です!オレ、やりました‼︎」
「?うん。ありがとね」
時間差で達成感がきたのか、タケミっちは心底嬉しそうに笑って、空に拳を掲げていた。
そこへ、「タケミチくーん」と可愛い声がかかる。
「ん?」
声の主に目を向けて、タケミっちはガバッと起き上がった。
「ヒナ⁉︎」
「ウチもいるよー」
やってきたのは、ヒナちゃんとエマ。
エマがアタシを見て、ヒラヒラと手を振る……さっきのメールのやり取りから、すぐこっちに来たらしい。
タケミっちは立ち上がると、ヒナちゃんの方に歩み寄った。
「どーしたの?」
「…えっと…」
「ホラ、早く言っちゃいな」
モジモジと口籠るヒナちゃんを、エマが後ろからこづく。
ヒナちゃんは意を決したように、タケミっちを見つめた。
「8月3日って空いてる?」
「え?」
「タケミっちとお祭り行きたいんだって!」
結局エマが言うのかと、アタシは心の中でツッコむ。
「うん。行く‼︎」
タケミっちは一瞬止まったけど、すぐに返事を返した。
「ホラ、絶対オッケーだって言ったじゃん。つか、カレシだろ?」
エマの言葉にタケミっちとヒナちゃんは、照れ臭そうに、嬉しそうに笑い合う。
その甘酸っぱい様子を見守りながら、エマは空気を読んで二人から離れた。
エマはアタシの近くに来ながら、「やれやれ」と満足そうに笑ってる。
「エマ、今日は協力してくれてありがとね」
「ううん。そっちはどーだったの?マイキーとドラケンは…」
「あっち見てみ」
アタシが敦くん達と遊んでるマイキーとドラケンを指差すと、エマはそちらに目を向けて目を丸くした。
「あれ⁉︎」
エマの声に気づいて、ドラケンがアタシ達の方を見る。
「よう、エマ」
「ほっ」
マイキーは額に載せたボールを、バランス取りながらバウンドさせてた。