第4章 総長と副総長
マイキーの後ろでは敦くんが「マイキー君うめぇー」と感心してる。
アタシはエマと一緒に、マイキー達の方へ向かった。
「え?仲直りしたの⁉︎」
ボールに集中してるマイキーが「エマうるさい」とヌかす。
「あんなにケンカしてたのに⁉︎」
「してたっけ」
「ハハハ、知らね」
なんでもないように話すマイキーとドラケンに、エマは「もう!」と口を尖らせた。
「心配したんだからね!」
「ごめんねぇ、エマ」
「ユウは謝んなくていいの!悪いのは二人なんだから!」
「今日の嘘、マイキーにバレちゃった」
アタシが話の流れで言うと、エマは「え⁉︎」と焦った顔でマイキーを見た。
アタシとエマの会話を聞いてたマイキーは、ボールをキャッチしながらエマにキッと目を向ける。
「そーだエマ!オマエ、よくもオレを騙しやがったな!」
「こらマイキー‼︎エマに怒んのはナシ‼︎」
アタシが怒鳴ると、マイキーはぷくっと頬を膨らませてそっぽを向いた。
そんなマイキーを見て、ドラケンがまた呆れたような顔をする。
「マイキー、いい加減機嫌直せよ」
「和月が悪ぃーし。オレ悪くねーし」
「だから謝ったでしょ」
「…ホントに仲直りしたんだ」
アタシ達のやり取りを見て、エマはぽつりと呟いた。
安心したように笑うエマの、その目尻には涙が浮かんでる。
「……ほら、二人もエマに謝って」
「……ゴメン、エマ」
「心配させて悪かった」
ポンポンと、ドラケンがエマの頭を優しく撫でた。
それに対して、エマは頬を赤くしながら、
「ううん。仲直りしてくれたら、それでいいの!」
そう言って嬉しそうに笑った。
そんな様子を見守りながら、アタシは本日何度目かの安堵の溜息を吐く。
マイキーとドラケンの喧嘩が、なんとか止まって良かった……けど、
「………」
問題はまだ残ってる。
マイキーとドラケンが止まっても、東卍の隊員達に広がってるマイキー派ドラケン派の争いは止まってないんだから。
これからは、そっちのケアをしていかなきゃ……敵対チームに余計なちょっかい出される前に。
アタシは携帯を握り締めながら、しかと前を見据えた。