第4章 総長と副総長
アタシとタケミっちも、蔓棚の下に腰を下ろした。
マイキーとドラケンが、綺麗になったタケミっちの頭を見つめて「ブッ」と吹き出す。
「笑ったなぁ」
「久しぶりに超笑った!」
「頭洗いましたから!」
アタシは、さっきの珍事を知らないテイだから、その話には反応しないように気を付ける。
少しの間をあけて、ドラケンがマイキーの方を見ながら口を開いた。
「オレが悪かったよ、マイキー」
マイキーも、ドラケンの方を見て答える。
「ううん、オレの方こそゴメン」
うやむやにせずちゃんと謝り合った……これで本当に仲直りだ。
「二人が仲直りしてくれて、ホントに良かった」
アタシがそう言って笑うと、マイキーとドラケンはアタシを見つめる。
「和月も、ゴメン」
「面倒かけて悪かった」
「ホントにね。反省して」
「ユウさんっ」
謝ってくれる二人にアタシが正直に返すと、タケミっちから焦ったような声が上がった。
だって面倒かけられたのは事実だし、これぐらい言ってもいいでしょ。
「……でも、二人はなんでケンカなんか?」
「「……忘れた」」
タケミっちにするような話ではないと判断してか、二人は同時にそう答えた。
「でも、正しいのはケンチンだ。パーは自首したんだもんな」
「……」
立ち上がり遠くを見つめるマイキーを見て、アタシは視線を下げる。
(ダチとしてパーちんを助けたかったマイキー君。パーちんの覚悟を大事にしたドラケン君。どっちも曲げれないモンがあるから、ケンカになっちゃったんだろうな…)
──「オレ、自首する」
アタシは、あの時のパーちんの姿を思い浮かべた。
アタシが、あの時「一緒に逃げよう」と言えなかったのは……心のどこかで、彼の覚悟を理解していたからかもしれない。
「パーが出てきたら、いっぱいお祝いしよーな」
マイキーの声に、アタシは顔を上げる。
マイキーの表情は笑顔で、アタシは数日ぶりに見るその晴れやかな様子に、スッと胸が軽くなる思いがした。
(やっぱ、東卍ってかっこいい!)
「じゃあマイキー、アタシへの“命令”も解除って事でいい?」
「うん。……色々ありがとな、和月」
「ホントにね」(※2回目)