第4章 総長と副総長
「タケミっちのお陰で、マイキーとケンが仲直りできた……本当に、ありがとう」
アタシは両手を後ろに回して組み、タケミっちへ深く頭を下げた。
「へっ⁉︎あのっ⁉︎…ああ頭上げてください!」
タケミっちは慌ててるけど、アタシは構わず頭を下げ続ける。
今はこれぐらいしか、感謝を伝える方法が思い浮かばなかった。
「ホントに頭上げてください!お願いですから‼︎」
タケミっちが、ガシッとアタシの肩を掴んで、半ば無理矢理上体を起こさせる。
顔を真っ青にしてるタケミっちが可笑しくて、アタシはフッと笑う。
「なぁに?不良なりの礼の仕方に文句あんの?」
「ないっスけど!こんな所もし東卍の人に見られたら、オレ…どんな目に遭わされるかわかったもんじゃっ」
「えー、そんなビビる?さっきは、マイキーにもケンにも凄んでたクセに」
「あれは怒りで我を忘れてたっていうか……それに、ユウさんに頭下げさせるのはワケが違うっスよ!」
気が弱いなぁ、タケミっちは。
……それなのに、さっきの喧嘩を止める時も、アタシ達に愛美愛主との抗争をやめさせようとした時も、キヨマサとタイマン張った時も、絶対に諦めようとしなくて……
ビビって泣いちゃうほど弱いのに、泣いても逃げない強さがあって……なんなんだろうね、ホント。
「タケミっちって、ホントに変なヤツ」
思った事を口にして、アタシは再度歩き出す。
「えええ……」
後をついてくるタケミっちは、変なヤツ呼ばわりされた事に不服そうな声を上げていた。
◇◆◇◆
公園に到着し、タケミっちと一緒にマイキーとドラケンの元に向かう。
「マイキー君、ドラケン君!」
二人は、公園にある蔓棚の下に腰かけてた……ちなみに敦くん達は、どこから持ってきたのかサッカーボール蹴って遊んでる。
「お。マイキー、タケミっちとユウが着いたぞ」
ドラケンが声をかけると、マイキーの目がアタシとタケミっちに向く。
「和月…エマは?」
「ヒナちゃんとこ遊びに行ってるよ」
(ヒナのとこ⁉︎)
ちなみにさっき、エマからメールで『タケミっち今どこにいるかわかる?』って聞かれて、『これから近所の公園に行くよ』って返したから……もしかしたら、ここに来るかもしれないけど。