第4章 総長と副総長
アタシは、もう一度自分の胸に手を当てる。
「……マイキーに気づかれなくて良かった!」
心の底から安堵の息を吐いた。
◇◆◇◆
タケミっちの家から出たところで、タケミっちを待つ事数分
「あれ、ユウさん?」
「災難だったねぇ、タケミっち」
頭を洗ったタケミっちが、再び家から出てきた。
「さっきは助けてあげらんなくて、ごめんね」
「え…いやいや!オレは全然、ヘーキ…っす」
口では平気と言いながら、タケミっちは力なく肩を落とす……思い出の品を破壊されたダメージが来てるっぽい。
ズーンと暗い効果音がつきそうなその様子に、アタシは罪悪感が募った。
でもタケミっちは、それを振り払うように、アタシに向かって笑って見せる。
「どうせ、もう使ってない物ばっかだったっスから」
「……そっか」
無理してるのはわかったけど、アタシは敢えて触れずにおいた。
「えっと、マイキー君とドラケン君は…」
「二人とも公園にいるみたい」
タケミっちを待ってる間、アタシの携帯にマイキーからメールが届いていた。
来れたら公園に来てーてきな内容で、好都合と考えたアタシは、タケミっちと一緒に向かう事にした。
タケミっちにそれを伝えると、快い返事が返ってくる。
アタシはタケミっちと、公園へ向かって歩き出した。
「あ、そうだ…」
「?」
タケミっちにもお願いしとかなきゃ。
「あのさ…アタシ、マイキーにケンとは会うなって言われてんのを、今日は嘘ついてタケミっちん家行ったんだ」
「ええ⁉︎」
「だから公園着いたらさ、タケミっちにも口裏合わせて欲しいんだよね。丁度そこで会って〜って感じで」
「わ、わかりました」
頷くタケミっちに、アタシは「ありがと!」とお礼を言う。
これで一安心……だけど、
「……それと、」
「はい?」
アタシはその場で足を止めて、タケミっちを見つめた。
タケミっちもつられて足を止め、不思議そうにアタシを見る。
身の安全を確保するのに必死で、肝心な事を忘れてちゃいけない……
「二人の喧嘩を止めてくれて、ありがとう」
「!」