第4章 総長と副総長
「……終わらせないって言ってンのに」
アタシがドラケンと睨み合う横で、タケミっちは慌てたように立ち上がった。
「な……何言ってんスか?冗談っすよね?」
「邪魔したな」
「ちょ…ちょっと待ってくださいよ‼︎」
部屋を出て行くドラケンを、タケミっちが追いかける。
「もしかして、東卍が二つに割れそうって…」
「本当じゃね?」
「うん…」
山岸くん達が、ドラケンとアタシの雰囲気を見てそう話す。
“マイキーとドラケンの喧嘩はいつもの事”、“だから今回も大した事にはならない”……彼らが話してた噂は、アタシが流したものだった。
他のチームに付け入られるのを防ぐ目的だったけど、浸透してたようで何より。
そう考えながら、アタシも立ち上がった。
「アタシも帰るね」
「え!ユウさん?」
「お邪魔しました」
皮だけ残った皿と、ドラケンとアタシの分のコップを持って、アタシはタケミっちの部屋を出て階下に下りた。
「ちょっと、ドラケン君!」
タケミっちがドラケンを呼び止めてるのを聞きながら、アタシは台所に向かう。
(やっぱり、本当に抗争しちゃうんだ‼︎止めないと‼︎ドラケン君が死んじゃう‼︎)
皿とコップをシンクに置いて、台所を後にする。
「東卍も終わりってどういう事っすか⁉︎状況教えて下さいよ‼︎」
アタシが廊下に出ると丁度、ドラケンは玄関ドアを開けてるところだった。
「ねえ!!?」
出て行くドラケンを追って、タケミっちも外に出る。
「……⁉︎」
玄関ドアが閉まり切る前に、隙間から一瞬だけ見えた人影に、アタシは戦慄した。
急いで階段を駆け上がって、タケミっちの部屋へ駆け込む。
「あ、ユウさん」
「忘れ物っすか?」
「そ、外っ…今、外に…‼︎」
敦くん達に、アタシは譫言のように返すことしかできない。
多分今のアタシは顔色真っ青で、ヤバいという感情のまま震えてる。
マコトくんと山岸くんが、何事かと窓の外を覗いた。
今、タケミっちの家の前には、タケミっちとドラケンと──
「あん?テメーなんでココいんだよ?」
「あ?テメーこそなんでココにいんだ?」
──マイキーがいる。