第4章 総長と副総長
「オレ、あの後の事よく知らなくて……き、聞いてもいいっスか?」
タケミっちが、ドラケンとアタシを見ながらおずおずと聞いてくる。
ドラケンとアタシは一度顔を見合わせ、先にアタシが口を開いた。
「パーちんが捕まって、愛美愛主のヤツらもあの場にいた半数以上が捕まった。タケミっちが倒れた後は、アタシが背負って警察の目を掻い潜りながら病院に行って……」
今度はドラケンが口を開く。
「パーは結局、1年以上は出てこれねえ」
「愛美愛主の長内は…?」
「生きてる。長内死んでたら、成人まで出てこれねえよ」
「……」
俯いたタケミっちは、少しの間を置いて再び顔を上げた。
そして、禁句を口にする。
「マイキー君は……?」
ドンッ!
「あのヤローふざけやがって」
“マイキー”の名を聞いて、ドラケンが怒りのままローテーブルに拳を叩きつけた。
「ああああ!」
「ケン!それ…」
「ん?」
その衝撃で、完成されてたジグソーパズルがバラバラになってしまった。
「あ…ゴメン」
さすがに悪いと思ったらしく、ドラケンは気まずそうに謝る。
「オレの3日間の全てがあああ‼︎」
「だから謝ってんじゃねえかよ」
頭抱えて泣いてたタケミっちだけど、ドラケンからギロッと睨まれたら姿勢を正した。
「ハイ!!!ヘーキっす。たかが3日間寝る間も惜しんで完成させただけなんで」
「うわぁ…」
安静の意味わかってんのかツッコみたい気持ちも湧きつつ、やっぱり可哀想でアタシはタケミっちに同情する。
涙をゴシゴシと腕で拭って、タケミっちはアタシに顔を向けた。
「ユウさんにも止めらんないんスか⁉︎」
「止めようとしてんだけどね。二人とも頑固で……」
アタシが「ハァー」と態とらしく溜息を吐くと、ドラケンから舌打ちが返ってきた。
「……アタシが悪いのも、あるんだけど」
無意識に呟いて、アタシはハッと口を閉じた。
何タケミっちに余計な事言おうとしてんの……
ダン
ドラケンは怒りが冷めない様子で、空になったコップを乱暴に置くと、立ち上がった。
「とにかく、オレはもうマイキーとは縁切るわ」
「え?」
さっきアタシに告げた事を、もう一度口にする。
「東卍も終わりだ」