第4章 総長と副総長
「ん?何?」
あんま見られると恥ずいんだけど……
「あ、いやっ」
「あんまジロジロ見んなよ、失礼だろ!」
「だってよぉ、美女が口から種吐き出してんのってなんかエッ」
「やめろバカ‼︎」
黒髪オールバックの子が口走るのを、赤髪リーゼントの子が止める。
「………あー、なるほど」
中学男子らしい健全な会話ってやつか。
全部聴こえてたけど、そんな大した事は言われてないので黙ってる事にした。
「………」
ドラケンも眉間に皺寄せてたけど、アタシが黙ってるからか特に彼らに注意する事はしなかった。
アタシとも半分喧嘩してるようなもんなのに、心配してくれてんのかな……そう思うと素直に嬉しくなる。
「なんか、すみません…」
タケミっちの友達の一人、比較的大人しそうなロン毛の子が彼らに代わってアタシに謝った。
「いーよ、気にしてない」
アタシが笑って返すと、ロン毛の子は少し顔を赤らめる。
すると黒髪オールバックの子が、後ろからバシッと彼の肩を叩いた。
「てめっ、タクヤ!抜け駆けしてんじゃねえ!」
「抜け駆けってなんだよ」
ロン毛の子より前に出て、オールバックの子がアタシを見つめながらバッと手を挙げる。
「ユウさん、オレ鈴木 マコトっていいます!」
「オレ!山岸 一司っす!」
彼に続いて、前髪をアップにしたメガネの子も名乗りを上げた。
「ん、よろしく」
アタシは、ズイっと顔を近づけてくる彼らに返事をする。
距離が近いなと思ってたら、見かねたタケミっちが間に割って入ってきた。
「マコト、山岸!オマエらユウさんにあんま近付くな!迷惑だろ!」
「うるせーこの裏切りモン!」
「裏切り⁉︎」
「タケミチ、オマエこんな美女と知り合っておきながら!早く紹介しろよな‼︎」
「オレらずっとワクワクしながら待ってたんだぞ‼︎」
指差して責めてくる彼らに、タケミっちは若干引きながら「無茶言うな!」と返す。
「オレなんかがユウさんを紹介できるワケねえだろ⁉︎」
「「それもそうか」」
「ぅオイ‼︎」