第4章 総長と副総長
ガチャッ
「誰と誰が、モメるワケねえって?」
部屋の中の顔触れが、一斉にドラケンとアタシを振り向いた。
「ド…ッ、ドラケン君⁉︎と、ユウさん⁉︎」
「見舞いに来たぞーー、タケミっち」
「やほやほ、タケミっち。元気そうで良かった」
タケミっちの部屋は意外と整頓されてて、ローテーブルに完成された巨大ジグソーパズルがある事以外は普通な感じ。
部屋の中には、タケミっち以外にタケミっちの友達らしき男の子が4人いて、確かキヨマサの喧嘩賭博の時見かけたなぁと、アタシはぼんやり思い出した。
「暑っちーな、この部屋。ヤローばっか居るからか?」
ドラケンとアタシが部屋に入ると、タケミっち達がバッと立ち上がる。
「ん?なんでオマエら立ってんの?」
まぁ、彼らも不良ならドラケンみたいな大物が来たら驚くよね。
「おー、スイカ買ってきたぞ。オマエら突っ立ってねえで座れ‼︎」
「「「は、はい‼︎」」」
「ケン、アタシ切ってくるよ。タケミっち、台所借りていーい?」
「あ、はい…」
答えた後でタケミっちは、ハッとした顔をして「いや!オレが切ってきます!」と慌てた。
「いいよ、アタシがやるから。安静中なんだから大人しくしてなね?」
アタシはドラケンからスイカを受け取ると、タケミっちの気遣いは断って、台所に向かった。
まな板と包丁を借りてスイカを切り分け、大皿に盛る。
そこへタケミっちがおずおずと現れて、申し訳なさそうに冷蔵庫を開いた。
「今ウチ麦茶しかないんスけど…」
「充分!ありがとね」
コップに注いだ麦茶と皿に盛ったスイカを持って、アタシ達はタケミっちの部屋に戻る。
「「「いただきます‼︎」」」
「いただきまーす」
「おー食え食え」
みんなそれぞれスイカにかぶりついた。
「あまっ」「うまっ」と感想を口にしつつ、ドラケンやタケミっち達はペペッと口から種を吹いて出す。
アタシもそうしたいトコだけど、これでも女だし、ほぼ初対面の男子達もいる前なので、手で口元隠しながら控え目に皿にプッと種を吐き出した。
ちょっと面倒くさいなと思いつつ、前に垂れてきた髪を耳にかけ直して、顔を上げる。
すると、こちらを見てたらしいタケミっちの友達と目が合った。