第4章 総長と副総長
話しながらアタシがドラケンを見上げると、ドラケンもアタシを見ていて、二人の視線が交わった。
ドラケンの副総長としての強い眼差しに、アタシは喉が詰まって言葉が続けられなくなる。
「オマエは、アイツに従う気でいんのか?」
「……アタシ、は……」
「親友の為に長内を刺して、その罪にケジメつけようと自首したパーの覚悟を……アイツは、踏み躙ろうとしてんだぞ」
「踏み躙るなんて言い方…!」
「アイツには、仲間の覚悟なんてどーでもいいって事だろ」
「…………」
ドラケンがあえて厳しい言葉を使うのは、アタシに対しても怒っているからだろう……「参謀のクセに、何で止めないんだ」って。
「パーが大事だから……どんな手使ってでも、助けたいって思っちゃうんだよ」
「パーが大事なのは、オレだってそうだ。でも、だからって汚ねぇマネして“道”外れんのは違ぇだろ」
「………」
アタシは居た堪れなくなって、ドラケンから目を逸らした。
「……ごめん……」
「何でオマエが謝んだよ」
「アタシも、ケンの言うことが正しいって、思ってる……けど、」
犯罪だからとか、そんな話をしてるんじゃない。
不良のアタシ達が今更犯罪を語る意味はないし、ドラケンだってそういう事を言ってるんじゃないと思う。
マイキーが今しようとしてる事は、東卍を背負う総長として、ここまでドラケンが着いてきた男として、“間違ってる”……ドラケンは、そう怒ってるんだ。
でも……頭でそうわかっていても、アタシは……
「……アタシには、マイキーを止められなくて」
アタシはマイキーの味方だって、そう言った。
それは間違いなく本心だけど、マイキーの意見に賛成するって意味じゃなかった。
「本当は止めたかったんだよ?時間かけてでもマイキーを説得するつもりだった……でも今は、そうも言っていられなくなった」
「?」
アタシは、マイキーに接触してきたという愛美愛主幹部を思い浮かべた。
稀咲鉄太……ホンットに余計な事してくれたね。
「どういう事だ?」
「詳しくは話せない。でも、アタシが何とかしないと、もっと大変な事になるってわかってる」
パーちんを出所させる、その手引きをアタシが引き受けなきゃ、マイキーは稀咲を頼ってしまう。