第3章 東卍の危機
「…………」
愛美愛主については一旦置いておくけど、総長が倒れた今、残された幹部や隊員が暴走しないとも限らない。
「―――ん」
ある程度の情報収集は必要か……逆に情報を遮断する必要もある。
「――さん」
東卍の総長と副総長が揉めてる、なんて……敵チームから見れば付け入る隙でしかないもん。
「ユウさん」
いずれにしろやっぱり、最優先はマイキーとドラケンを仲直りさせる事だよね……
「ユウさん!」
ガシッ
「わっ⁉︎」
いきなり、誰かがアタシの肩を掴んだ。
アタシは驚きバッと顔を上げる。
こちらを心配そうに見つめる相手と目が合って、アタシは驚いた顔のまま首を傾げた。
「何でアンタがここに?──三途」
サラサラと、アタシの視界に白金の髪が流れ落ちる。
座り込んでたアタシの肩を掴んできたのは、伍番隊副隊長の三途 春千夜だった。
何でここに?と聞いたけど、三途が答えるまでもなく、アタシの頭には答えが浮かんでくる。
「今日も、ムーチョの付き添い?」
「ハイ」
「そっか、いつもご苦労様」
幹部会議の時、三途は終わるまで外で待機している事が多い。
他の副隊長はそもそも来てなかったり、ついて来ても別な場所で暇つぶしてる事が多いのに……会議自体には参加できないから当たり前だけど、それでも三途はいつも外で待機してる。
健気で、忠誠心が高い、副隊長の鑑みたいな男。
「でも、何でここに?ムーチョはもう帰ったよ?」
アタシが聞くと、三途は肩から手を離して、アタシの隣に腰を下ろした。
「隊長から、ユウさんの様子を伺って……心配になって見に来ました」
「えええ……それは、ごめん。心配かけて」
ムーチョだけじゃなく三途にまで……ただでさえ伍番隊は忙しいのに、余計な心配をかけさせてしまった。
何やってんだアタシは、と反省する。
「心配してくれんのは、嬉しいけど……アタシなら大丈夫だよ」
これ以上心配させないように、アタシは三途に笑って見せた。
「そうですか?実際、塞ぎ込んでるように見えましたけど」
「疲れたから座ってただけ〜」
「オレが何度声かけても、気付きませんでしたよね?」
「……えっ」
そんな何度も声かけられてたの?