第3章 東卍の危機
噛み付くようなアタシの剣幕に、三ツ谷は若干引いて、それでも労るようにアタシの肩に手を置いた。
「二人を止めてくれて、ありがとな。オマエが居なかったら、どうなってたか…」
「!あ……ご、ごめん。心配してくれたのに」
三ツ谷に八つ当たりしてしまった……腹立ってたとはいえ、三ツ谷は何も悪くないのに。
「ハァー……ごめん」
アタシは溜息をついて、場地、三ツ谷、スマイリー、ムーチョの顔を見回し謝った。
「アタシも、頭に血ぃ昇ってるみたい。みんな、今日は解散して……折角集まってくれたのに、悪いけど」
「マイキーとドラケンは、ほっとくのか?」
そう聞いてきたのはスマイリーで、相変わらず顔は笑ってるけど、声は隊長らしく真面目なものだった。
「少し放置して……二人の頭が冷えた頃に、話し合ってみるつもり」
「ったく、クソが。トップ2人が揉めてんじゃ世話ねーよなぁ」
「……マイキーもケンも、パーちんが大事だから、意地になってるんだよ」
根本は、そう……パーちんを想う二人に、争う理由なんて無いハズなのに……
「ユウ…パーの事は、どうする気だ?」
三ツ谷が、アタシの様子を伺いながら控えめに聞いてくる。
「話はアタシが預かるって言ったでしょ」
余計な気を揉ませない為に、アタシはハッキリと答えた。
「三ツ谷達は気にしないで、自分トコの隊員のケアをお願い」
「愛美愛主はどうする?」
今度は、場地が聞いてきた。
スマイリーと若干睨み合ってんのやめて欲しい。
「愛美愛主は東卍の傘下に、って宣言はしたけど……長内とパーの事で、うやむやのままになっちゃったからなぁ」
それに、あの場にいた愛美愛主の隊員半数近くがパーちんと共に捕まってしまった……傘下にするって話は、ナシになったと考えた方が良いかもしれない。
「そもそも昨日奇襲かけて来たのは、愛美愛主の全部じゃなかったんだよ。隊員はもっと多いハズだし、総長以外に幹部の姿がなかったし……」
アタシは考えながら顎に手を当てて、「う〜〜」と唸る。
「……愛美愛主側に動きがあるまでは、後回し!今はマイキーとドラケンのが優先」
「……そうだな……」
言い切るアタシに対して、場地は小さく返し、目を伏せた。
その様子に、アタシは違和感を覚える。