第3章 東卍の危機
「アタシが運ぶ!みんなは先に行って!」
「和月!でもっ」
「大丈夫!」
アタシは、マイキーを安心させるために笑った……もしかしたら上手く笑えてなかったかもしれないけど。
「ケン、マイキーとペーをお願い!」
「ああ、わかった!」
ドラケンはアタシに頷いて、マイキーとペーやんを連れて先へ進む。
アタシはタケミっちの上体を抱えながら、ズルズルと引きずって脇道に入った。
角を曲がった所で、タケミっちの体を背中に負って、警察に注意しながら歩き出す。
「う…」
「大丈夫だよ、タケミっち。アタシ逃げるの得意だから」
病院まで連れてったら、マイキー達に連絡しなきゃ。
パーちんが捕まった事は、ドラケンからみんなに伝わるかな。
「……パー」
“なんでこんな事に”……アタシが、間違えたからだ。
どうして気付かなかった……わかってあげられなかった……
──参謀、なのに……
「ごめんね……」
アタシの声は路地に溶けて、誰の耳に届くこともなかった。
◇◆◇◆
タケミっちを病院に連れて行き、しばらくして落ち着いた後、アタシは最初にドラケンに連絡した。
《タケミっちは無事か?》
「脳震盪だって。まだ意識戻んないから、経過観察の為に入院する事んなった」
タケミっちの携帯を拝借して、彼の家にも連絡入れた。
タケミっちの親が来てくれたタイミングでアタシは病室を後にし、入院の手続き等は任せさせてもらった。
「早けりゃ明日か明後日に退院できるけど、数日間は安静にしなきゃいけないみたい」
《そうか……》
「そっちは?」
《オマエらと別れた後は何事もなかったが……マイキーもペーやんも、パー置いてっちまった事気にしてる》
「だよね……アタシだって、まだ頭ん中ぐちゃぐちゃだもん」
声を聞けば分かる、ドラケンも相当気にしてるって……ドラケンには、アタシの声はどう聞こえてんのかな。
《他のやつらには、さっきオレから連絡しといた。愛美愛主と長内の事も、パーの事も》
「ありがと。アタシも後で連絡しなきゃな……」
どんなに後悔してても、悲しくても、参謀の役割は蔑ろに出来ない。
「今、マイキーは?ケンと一緒に居るの?」