第3章 東卍の危機
ペーやんの気持ちは、よくわかる……アタシだって今すぐ駆け向かって、パーちんに加勢したい。
長内をぶっ飛ばしたい……これが“ただの喧嘩”なら、迷わずそうしてるのに。
「黙って見とけって…マイキー君、ヒドくないっスか⁉︎」
タケミっちが、痛む体に鞭打って立ち上がった。
「パーちん、もう鼻も折れてるし、意識も朦朧としてるし、もうダメっスよ!」
パーちんはフラつきながら、再度長内に向かっていく。
「パーちん死んじゃいますよ!止めましょうよ!!!」
「なんで?まだ諦めてねえじゃん」
必死に止めようとするタケミっちに、マイキーは振り向いて微笑んだ。
(笑ってる⁉︎……ヒデェよ、マイキー君。これじゃあ拷問じゃん)
パーちんのもつれた足からサンダルが抜け落ちて、地面に転がる。
ドッ
長内の裏拳が、パーちんの顔面に叩き込まれた。
パーちんはまた倒れないように踏んばって、体勢を立て直す。
けど、それからパーちんの動きが止まってしまった。
「パー…!」
パーちんの意識は、もう無いに等しい。
「……オイ!コイツ立ったまま気絶してんゾ!」
長内が指摘すると、愛美愛主のヤツらはパーちんを見て笑い声を上げた。
パーちんの膝から力が抜け、その体勢が前に傾く。
ドサッ
それを、マイキーが受け止めた。
アタシも、すぐさまパーちんの元に駆け寄る。
「ゴメン…マイキー…ユウ」
マイキーの肩に支えられながら、パーちんは力なく呟いた。
「オレ…ふがいねえなぁ」
「何言ってんの?パーちん!」
「不甲斐なくなんかないよ!」
パーちんの言葉を、マイキーとアタシは否定する。
長内に何度打たれても、パーちんは倒れず、諦めなかった。
根性が据わってて、自分の身を顧みず親友の為に戦い抜ける、凄いヤツ。
そんなパーちんに、不甲斐ないトコなんてあるワケない。
「オマエ、負けてねえよ」
マイキーの言葉に、愛美愛主から次々と耳障りな声が上がる。
「はああ⁉︎」
「何言っちゃってんだオマエ!」
「どこをどう見たら負けてねえんだよ」
「ハハハ」
聞いてるだけで沸々とした怒りが湧いてくる声の数々に、アタシはキッと愛美愛主を睨んだ。